ジェームズ・アンソール
1860~1949/ベルギー/表現主義
仮面の画家
長い生涯を独身で通したアンソールの画風は19世紀から20世紀の多くの画家たちのなかでも他に類のない個性的なもので、特定の流派に分類することはむずかしいが、パウル・クレーなど多くの著名な画家に影響を与え、また20世紀の主要な美術運動であった表現主義やシュルレアリスムにも影響を与えていることから、20世紀美術の先駆者として高く評価されている。
彼の絵に仮面のモチーフが現れるのは1883年からからで、以後の彼の作品中の人物は、大部分が仮面をつけている(または仮面がそのまま顔と化している)ように見え、絵を見るわれわれを嘲笑しているようである。
彼は1949年に89歳で没しているが、仮面や骸骨をモチーフにした主要な作品は1885年から1895年頃に集中的に描かれている。初期には画壇の異端児とされ、周囲からの無理解と嘲笑にさらされたアンソールであったが、20世紀に入ってから次第に巨匠としての名声が高まり、1933年にはフランスのレジオン・ドヌール勲章を得ている。